「なぁ、なんかあった?」
「な、なんもないよっ」
「ふーん。じゃあ、こっち向けよ」
「……っ」
「……先行く」
翔太が怒るのも、無理ない。
悪いのは、あたしだ。
……恥ずかしさと不安で顔を上げられなかった自分が、すごい恥ずかしい。
あたしはゆっくりと教室へと向かう。
教室に入れば、梨華があたしの顔を見て、目をまん丸にさせた。
「ど、どーしたの、真優……」
「り、りかぁ……っ。どうしよー……っ」
梨華の顔を見たら、いつの間にか、涙が止まらなかった。
「ちょっ、ま、真優? とりあえず、場所かえよ?」
梨華の言葉に、頷いて、一緒に屋上へとゆっくり歩いた。

