映画が終われば、あたしは翔太に家まで送ってもらった。

「翔太、ありがとね」

「おう。明日、遅刻すんなよ?」

「いつも翔太より早いですけど?」

「はは、だなっ」

翔太に背中を向けた瞬間、「まひろ」と呼ばれて振り返った。

「な……んっ」

振り返った瞬間、翔太の手はあたしの後頭部を抑えていて、唇が重なった。

触れるだけの、優しくて、温かくて、甘いキス。

唇が離れると、翔太は耳をまっ赤にして、照れくさそうにニッと笑った。


「また明日なっ」


そう笑って、自転車をこぎ始めた翔太。


「……バカ」


……好き。

彼が、こんなにも、好き。



自転車をこいでいる翔太の背中が、ずっとずっと大きく、



輝いて見えた。