授業が終わり、先生が教室から出て行ったのと同時に立ち上がる。

「あれ? どこ行くの?」

「ケータイ、忘れたからとってくるー」

「あははっ。いってら〜」

ふあぁ。

欠伸をして、桜の木の下へと向かう。

すると、先客がいた。

あたしがいつも座ってる場所には、1人の男の子が。

「これ、あんたの忘れ物?」

そう言ってもってたのは、あたしのケータイ。

「うん」

「はい」

「どうも」

この人……たしか、転入生だよね。

今年の春に転入してきた子だってのはわかる。

名前は忘れたけど。