今……抱きしめられているこの一瞬。


それが、こんなにも幸せで。

そして、あたしも翔太も、それがすごく……怖い。


「真優」


翔太は少し離れて、真っすぐあたしを見る。


「俺と結婚してください」


そういって、あたしの手のひらに、シルバーリングを置いた。


「え……?」

「きっと俺は、誕生日に言えねーから。たぶん、一週間前から、面会もできなくなる」

「……っ。誕生日の、次の日は……?」

「……真優、その日に、そのリングをつけて俺のところに会いにきてよ」

「……うん、わかった」


あたしと翔太は、長いキスをした。

そして、あたしの瞳から一筋の涙が流れた。