放課後になれば、悠太君は「バイトあるから先帰るな」と言って、走って帰っていってしまった。
久しぶりに、桜の木行こうかな。
最近、思いださないように行っていなかった場所。
でも……行っても思いださないようにしないといけない。
……あ、れ……。
先客?
桜の木の所には、男の人が一人立っている。
制服きてない……卒業生、とか?
少しずつ近づいていき、男の人があたしの方に振り返った瞬間、あたしは思わず足が止まった。
そして、肩にかけてある鞄が地面へと落ちる。
「……しょ、うた……?」
「……まひろ?」
どうして。
どうして、今更……。
忘れようって、思ってたのに。

