悠太君の部屋に着けば、そっとベッドに押し倒される。

「後悔、しない?」

「うん」

あたしがそう返事をすると、悠太君は触れるだけの優しいキスをした。

まだ冷えてるのか、唇は冷たかったけど、けど包んでくれてるこの腕は温かくて。

「好きだよ、真優ちゃん」

そう、囁く声がとても心地よくて。



「好きだ、真優」



この事に、後悔なんて、絶対にしない。

この温かさに、この優しさに触れた事……後悔するはずがない。

消していくんだ。

ゆっくり、ゆっくり……。

『真優』

そう、あたしの頭の中で繰り返される声の主を、ゆっくり……塗り替えていきたい。



だから、早く、消えて。


『好きだよ、真優』


そうあたしの頭の中で繰り返される声と悠太君の声が、混じっていって、いつの間にか、



悠太君の声しか、聞こえなくなっていた。