【完】999本のバラを君に。





第一走者が走り出し、借り物が書いてある紙を見ている走者。

その走者の1人が、こちら側に走ってきた。


……え?

そして、その1人が、あたしの手首を掴む。

「な、なに?」

「走れ」

え?!

あたしは手を引かれるまま、誰かもわからない人と一緒に走り出す。

だ、だれ??

ハテナマークをだしながら、目の前の人を見ると、あたしの目には、思わぬものが目に飛び込んできた。

それは、目の前の人の肘についた、ピンク色にウサギ柄の絆創膏。

あたしは思わず、バッと顔を上げる。

この絆創膏を、肘の下につけている人は、あたしの中でただ1人で。

『えと、柄付き……だけど』

『ふ、サンキュ』


ただ、1人……。

そして、アナウンスが流れてきた。



『えー今1位の走者の借り物は、なんと、“好きな異性”です!!!』



そのアナウンスが聞こえた瞬間、顔に熱が溜まっていくのが自分でもわかった。

周りから「ヒューヒュー」と冷やかしの声が飛び交う。