「ねぇ、しょ」
翔太の名前を呼ぼうとしたら、障害物競走に出場する人の招集の放送が流れてきた。
「出るんだろ? 行けよ」
「う、うん……」
あたしは、ゆっくり走り出す。
翔太……なんで?
今更、なんで??
あたしの障害物競走は、あっさり終わって。
結果は3位。
梨華のところに戻ると、女の子がきゃあきゃあ騒いでいる。
「梨華ーどうしたの?」
「あ、なんかさ、障害物競争のルールがおもしろくて」
「ルール?」
「なんか、男子は走るとき仮面をつけて走るんだって。理由が、借り物がほとんど異性だからって」
つまり、好きな異性とか、可愛いと思う異性、とか??
校庭を見ると、確かに男子はカエルや、猫や、宇宙人の仮面なんかをつけている人もいる。

