【完】999本のバラを君に。







「ねぇ、しょ」


翔太の名前を呼ぼうとしたら、障害物競走に出場する人の招集の放送が流れてきた。


「出るんだろ? 行けよ」

「う、うん……」


あたしは、ゆっくり走り出す。

翔太……なんで?

今更、なんで??


あたしの障害物競走は、あっさり終わって。

結果は3位。

梨華のところに戻ると、女の子がきゃあきゃあ騒いでいる。

「梨華ーどうしたの?」

「あ、なんかさ、障害物競争のルールがおもしろくて」

「ルール?」

「なんか、男子は走るとき仮面をつけて走るんだって。理由が、借り物がほとんど異性だからって」


つまり、好きな異性とか、可愛いと思う異性、とか??


校庭を見ると、確かに男子はカエルや、猫や、宇宙人の仮面なんかをつけている人もいる。