作業している教室に着くと、もう片付けに入っていた。

「す、すみません!」

「いいって。悠太君、明日はきてねー」

「うーっす」

片付けを手伝って、下駄箱に行くと、先に帰っていたはずの悠太君が立っていた。

「どーしたの?」

「ん? 外暗いから、真優ちゃん送ってあげようと思って」

「え、いいよ、そんな……」

「どうせ同じ方向だし。それとも、兄貴に言われて警戒してる?」

「……っ」

俯くあたしの手を取り、歩き出す悠太君。

その背中は、やっぱり翔太に似ていて。


「……ごめんね」


翔太に言われて、悠太君とは2人っきりにならないようにしてるけど、実際難しい。

それに、正直そこまで警戒してないあたし。

だって……こうやって、送ってくれる悠太くんの手は温かくて。

向けられるまなざしが、優しくて。



翔太が警戒する理由が、わからないよ。