桜の木について、翔太は腰を下ろす。
「くそ親父……ッ」
「翔太……?」
「……わり、真優。あれ、俺の弟」
「……うん。同い年、なんだね」
「あぁ……。生まれた年は一緒だからな」
「……電話、無視って?」
「……内容はわかってんだよ」
「そっか……」
「真優、座って」
あたしは、ゆっくりと、翔太の隣に腰を下ろす。
翔太は、あたしの手を強く握った。
「これから何かあったら、すぐに俺に言え。メールでも、電話でもいい。……約束して欲しい」
ギュッとあたしの手を強く握る翔太の手が、少しだけ震えていて。
「うん、約束する」
あたしは、そう答えるしかなかった。
翔太は、ギュッと強くあたしを抱きしめる。
腕をまわした体が、少しだけ震えていた。

