腕に抱かれながら思う。


僕はこの人が好きなんだろう。


例え、この温もりが血を分けた兄のモノだとしても。



「兄さ……ん」


呼べば、違うと返される。


「今は名前で呼んで」
「愁(シュウ)……」
「いい子だ。」


優しく撫でられる頭。


どうしようもなく、切なくなる。


体は満たされているのに、心は満たされない。


もう何年もそんな状態だ。



兄さんは…………


どうなのだろう。


実際の所、兄さんが僕を好きなのかさえ分からない。


僕はただ、求められるがままに応えるだけ。