星月の君




 まあ、確かに。
 そう頷けば「少しは庇ってくれよ」と敦忠はうなだれる。


 敦忠はそう、顔を見ると幼い印象を与える。それがまた女心をくすぐる(本人曰く、だが)らしい。

 私からしてみれば女に関してはどちらもこう、だらし無いというか、誠実ではないではないか、といいたい。
 何人でも妻を持てるというような状態を否定している訳ではないが、男を待つ女からして見れば、誰だって一番でいたいし、最愛の一人でいたいと考えるだろう。


 女房やら美人やらと聞いたら飛んでいく基俊殿に比べたら、友人贔屓に見なくても、敦忠はまだいいほう、なのかもしれない。



 あちこちの女に、上手いこと言っているんだろうが、私にはそんなことは出来ないなと思う。

 好きなら好きだとはっきり言えたあの日々のようなことは、もう無いのではないかとまで思うのだ。
 それだけ好きだったし、信じていたいた私が負った傷は、深い。




「行成ってば」