星月の君




 思い当たる光景がある。

 源基俊といったら、今女たちを騒がせている男の一人である。参内した時にも見たな、と私は思い出す。

 確かに、見た目はいいかもしれない。騒ぎ、そして熱い視線を浴びていたのを、げっそりとした思いで毎回見かけるのだ。

 あくまでも噂であるが一部の女たちは、恨んでいるとか。
 それもそうだろう。
 いろんな女に手を出しているのだから。





「お前も人のことを言えないだろうが」



 どうして、と首を傾げた敦忠に私は溜息。




「お前だってどちらかと言えば、色好みだろう」

「あんな男と一緒にして欲しくないね。あいつ、何て言ったと思う?やあ敦忠殿、相変わらず童顔で羨ましい。年上の女性にモテるでしょうね、っていいやがったんだよ。人が気にしていることをっ!」