幽霊部員。

ピンポーン。

「はーい。」

出てきたのは60近い女性だった。

「あの、こちら咲子さんのお宅ですよね。」

「そうですけど・・

 何か?」

「お話したくて、

 てか、

 なんというか。

 私、咲子さんが見えてて。」

うまく言えない私に、

その女性の顔は不審者でも見る目に変わる。

「あの、

 これを言えば信じてもらえるって。

 お母さん、

 白い熊のぬいぐるみ、

 捨てようかどうか

 迷ってるよね。

 でも、

 捨てないでほしい。

 って言ってます。」

女性は、

表情を一つも変えないまま、

泣いていた。

「中へどうぞ。」

そうして私を中に案内した。