「じょ、冗談です。

 死ぬとか。」

「だよね。

 ならよかった。」

「死んだって、

 自殺した人ですか?」

「うん。」

あまりにもそっけなくそう言った。

「でも、

 死んだのに、

 死んだだけで、

 まだここにいる。

 なんでかな・・。

 やり残したことがあるのかな。」

悲しい顔をした。

「吹奏楽部だったんですか?」

「うん。」

だんだん幽霊、

というかこの人に慣れてきた。

「どのポジションですか?」

「パーカス。」

「あ、そうなんですか?

 見てください!!

 パーカスのスペース広くなりましたよ!!」

私は部室がきれいになったことが嬉しくてたまらない。

幽霊にだって自慢したいのだ。

「ねえ、

 本当。

 なんでいままであのスペースが

 ずっとあったのかしら。」

「ほんとに。

 あの、お名前、

 なんていうんですか?」

「咲子。」

「咲子さん。

 私は千咲です。名前、

 似てますね。」