みんなそれぞれに新しい生活を始めて2年目の秋、知らない番号から1本の電話がかかってきた。
『もしもし?』
『・・・もしもし拓?』
『沙希。。。。ちゃん?』
絶対忘れる事なんかない声。
俺は何が起こったのか分からなくてでも香川の一言一言を聞き逃さないように携帯を耳に押し当てた。
『・・うん』
『どうした?』
『・・・拓』
その後香川からの言葉はなく鼻を啜る音だけがかすかに聞こえた。
『お前泣いてちゃ分かんないだろ?』
『三浦っちが。。。。。』
『三浦がどうした?』
『・・・死んじゃったんだって』
『・・・えっ?』
『死んじゃったよ。拓』
『・・お前何言ってんの?』
三浦の笑った顔を思い出す。
三浦が。。。死んだ?
『駅伝の選考会で脱水症状になって、
足も痙攣してるのに走り続けて。。』
『。。。。。』
『三浦っち。。。拓に会いたいなって。。
箱根で走ってるとこ見て欲しいなって言ってたのに。。』
『。。。。』
それだけ言って香川は話せなくなった。
三浦?
嘘だろ?
死んだら会えないだろ?
お前何やってんの?
・・・嘘だよな?

