俺が彼女を抱けない理由



「じゃあ行くわ」


「頑張って」


兄貴は夢を追いかけてうちを出た。


その姿を見て自分が置いてきたものの大きさを感じる。


みんな元気かな。。


三浦と葵ちゃんの事もそのままにしてきたな。


アイツの事だからまだ思うだけの恋をしてるんだろう。

それは俺も同じか。。


最近また窓の外を見る回数が増えた。


俺もこのままじゃ好きな人に好きとも言えない。


「拓くん」


受付の矢崎さんが呼びにくる。


「はい」


「ちょっと手伝ってもらえる?」


「はい」


某ロックバンドの次のLIVEに渡すパンフやリリース告知の紙を袋に入れていく。


こういう事もするんだぁ。


何の仕事でもいい。



動いてる方が無心になれた。