「祐ちゃん」
ドアを開けるとカバンいっぱいに服を詰めてる兄貴がいた。
「おぉ拓」
「遅かったなデート?」
「親父と同じ事言ってるよ」
「最悪」
話ながらも兄貴は手を止めようとはしない。
「もう帰ってこない?」
「まぁ無収入だし劇団の宿舎に泊まって裏方しながら演技覚えるよ」
「そうなんだぁ」
すべてを詰め込んだ兄貴はソファに座って俺の方を見た。
「拓、彼女元気?」
「誰?」
「高校の時いつも一緒にいた子」
「香川?」
「かな」
「彼女じゃないよ。笑
・・友達」
「そっか。。」
この時から兄貴は香川の事が好きだった?
俺はそんな事全然気づいてなかった。
「俺、連絡先さえ知らない。。笑」
「そうなんだ。笑」
この時、俺。。香川が好きって事伝えるべきだったのかな。

