俺が彼女を抱けない理由

『行くとこあるのか?うちでもいいんだぞ』


『ありがと。でも親父が来いって言ってくれてるから』




『遠いのか?』



『今よりはな。笑』


『じゃあまた会えるな』


『当たり前』


『じゃあな』


『おぅ』







ありがとな、瞬。




電車で１時間はやっぱり都会で周りを見渡しても大きなﾋﾞﾙに囲まれていた。


小さく載ってる地図を見ながら歩く。


多分30分くらいは歩いた頃男の人に声をかけられた。


｢拓〜｣


｢あっ兄貴｣


｢なんか迷ってそうだから親父が見てこいって｣



｢迷ってた。。笑｣


｢やっぱりか。笑

じゃあ俺劇団の面接あるから。ここの18階な｣



｢わかった。ありがとう｣

見上げれば何階まであるのか分からないほどの大きなﾋﾞﾙがこっちを見てた。



ｴﾚﾍﾞｰﾀｰのﾎﾞﾀﾝを押す。


本当に来てよかったのかな。


ｴﾚﾍﾞｰﾀｰがあがるにつれてどんどん不安が増していく。



ｵﾌｨｽは透明なｶﾞﾗｽ張りで『高井企画』と書いてある。

俺に気づいた受付の女の人が社長室まで案内してくれた。




｢失礼します｣





｢はいどうぞ｣





｢拓。遅かったな。祐介にあったか?｣





｢はい｣