11月の終わりに男女6人で海。
言い出したのは香川でただ笑いながら砂浜を走る6人がどうみてもおかしい。
こういうのは深く考えない方がいい。
遠くの方で夕実ちゃんと瞬の笑い声が聞こえる。
葵ちゃんに話かける事さえできない三浦を見て俺がどうにかしてやらないとと思い俺の前を歩いていた香川の腕を引っ張って止めた。
「沙希ちゃん、ちょっと」
「ん?」
ブーブーブー
ポケットの携帯が震える
「あっごめん電話。ちょっとだけ待って」
「うん」
『もしもし?』
『もしもし拓?』
『。。。。』
『お母さんだけど』
『なに?』
『今、家に帰って来てるんだけど。。。拓帰ってこれない?』
『無理』
『。。。。』
『分かったよ』
あの人は泣いてた。
どうせまた男関係っていう事は分かってる。
でもなんとなくほっとけなかった。
「ごめん。俺ちょっと帰らなきゃ」
「なんで?」
「ちょっと」
「そっか。分かった。電車時間ある?」
「大丈夫だと思う」
香川はその先は絶対聞いてこなかった。
触れて欲しくない所を分かってるかのように。。

