夕実ちゃんは気を利かせたのか、ただ瞬と一緒に居たかっただけなのか部屋に残った。
「もう遅いし送ろうか?」
「いいよいいよ」
「でも。。」
「じゃあ駅まで一緒にいこ!」
「そうだな」
俺に少しの勇気があれば状況が変わっていたのかも知れない。
でもこの時、俺は香川の傍にいるのがやっとで目の前にある大きな壁を取り払う事はできなかった。
「ねぇ拓」
「ん?」
「拓は幸せ?」
「なんだよ急に」
「どうなのかなっと思って」
「そうだなぁ。。今日はすごく幸せだったよ」
「じゃあよかった」
香川の考えてる事が分からない。
でも今なら聞けるような気がする。
「なぁ?」
「アタシね。先輩と別れようかと思って」
香川からの突然の告白に自分の聞きたかった事を呑み込む。
「なんで急に?」
「。。。なんでかな。」

