「あの親父はないって!」
「そうだな。笑」
まだショックから立ち直れていない瞬は大きくため息をつきながら窓の外を見ていた。
「まぁ担任と恋愛する訳じゃないからな」
自分に言い聞かせてる瞬がなんだかかわいい。
諦めのついた俺と瞬は教室へと戻った。
「拓、今日の帰り遊びに行かねぇ?」
「あ〜今日は止めとくわ」
「そっか。りょ〜かい」
担任の尾崎から簡単な紹介があってその日の学校は終わった。
俺は瞬に先に帰る事を告げ教室を出た。
うちへと向かう足取りは重くてただフラフラと時間をかけながら帰る。
本当は瞬と遊んでる方が楽しいに決まってる。
でも今日は母親が入学祝いに珍しく料理を作って待ってるって言ってたから。。
うちの近くまで帰るといつもはない車が停まっていた。
その車を気にしながら玄関のドアを開ける。
「拓。お帰り」
「ただいま」
「お母さんちょっと。。彼が待ってるから出るね。おいしいご飯いっぱい作ったからね。入学おめでとう」
そう言って母親は嬉しそうにうちから出て行った。
「なぁ」
呼んでも振り返る事はなかった。
普段はないテーブルの上に並ぶたくさんの料理を一つずつレンジに入れて温める。
その時車のエンジンがかかり走り出す音が聞こえた。

