俺が彼女を抱けない理由



学校に着くとやっぱりまだ誰も来ていないくて俺は一人部室の前に座る。


「あれ?結城くん?」


「あっおはようございます!」




マネージャーの林さんが準備室から出てきた。




「早いね。さすが、期待の新人だね」


「いえいえ。ちょっと早く目が覚めたんで。。準備手伝いましょうか?」



「じゃあスタブロとか運んでもらえるかな?」


スタブロっていうのは短距離のスタートのときに蹴るスターティングブロックのことで女の人が持つには結構重い。


「はい!車に運んだらいいですか?」


「うん。助かる」


運んでるうちにどんどん人が集まってきた。


「拓〜おはよ。早いね」

突然後ろから話しかけられて俺はスタブロを落としそうになった。


「沙希ちゃんかぁ。。。」


「なによ〜不満?」


そんな訳がない。


隣に立っている人には不満はあるけど。。。


「松本先輩おはようございます」


「おはよう。結城と沙希って同じクラスだっけ?」


『はい』




香川と返事が重なる。



「結城が女の子と親しそうに話すのってあんまり見ないからさ」




松本先輩の目が少し怖く感じた。


「あ〜先輩、拓はアタシの事女だなんて思ってないから。笑」


俺の心に傷だけを残して香川と先輩は二人で歩いていった。