俺が彼女を抱けない理由


しばらくして葵の両親も病院に着いた。



「葵は?」


お父さんが真っ青な顔で手術室の扉の前に立つ。

「。。葵」


お母さんは葵が助けた子供を抱きしめていた。





何時間経っただろう。


手術室の扉が開き先生が出てきた。


「葵は?」


俺の言葉に答える事もなく葵の両親を連れて違う部屋に入っていく。



俺はその場に立ち尽くしたまま葵が出てくるのを待った。




「葵!」



「葵ちゃん!」



「葵ちゃん!」


葵は俺らの呼びかけに答える事もなくそのまま集中治療室に運ばれた。



「葵、意識戻らないかもって」


葵のお母さんが俺の前でそう呟いたまま泣き崩れた。



「・・・えっ」



想像さえしなかった言葉に俺はその場に座り込む。


「アタシ、沙希に連絡してくる」


そういって夕実ちゃんは病院の外へ出て行った。


「拓、一度マナ連れて帰るけどお前大丈夫か?」



「。。。あぁ」



俺と瞬は目も合わさない
ただ葵の事だけを祈った