うちまでの距離が長く感じる。
こういう時に限って信号は赤。
「親父?」
すでに外で待っていた親父の車に乗り移る。
「なぁ親父?どこ行くの?」
「病院」
「病院?」
「貴子がもう危ないって病院から連絡あった」
「。。。えっ」
「お前には言わないでって言われてたから黙ってたけど、アイツ卵巣癌なんだ」
「癌。。。」
「病院にいったときにはもう手遅れだった」
「親父病院通ってたのかよ。。。」
「あぁ。。」
「でも。。仕事探してやってるって。。。」
「あぁ。。ごめんな拓」
「。。。。」
俺の中であの人に対する気持ちは怒りや憎しみしか残ってないと思ってた。
でも。。そんな人でも生きてて欲しいと思った。
「着いたぞ」
俺と親父は走って病室まで急いだ。
母親以外は先生と看護師さんしかいない。
この人は最後の最後に1人ぼっちなんだ。。。
「貴子っ!!」
親父の声にも反応はない
「貴子!!おいっ拓だぞ」
もう呼吸は浅い
「お母さん。。。」
俺は独り言のような小さな声で母親を呼んだ。
そして手を握る
どんなにひどい人でも俺にとったらたった一人の母親なんだ。。

