俺が彼女を抱けない理由


陸上の練習は中学の時よりもハードでついて行くのが大変だった。

でもやっぱり走るのが好きで香川との距離感も好きだった。


アイツは瞬と一緒で別に俺の中に深く入ってくる事もなく一定の距離を保つ。


男女、誰とでもサバサバと話して、なんていうか。。裏がない。

そういうアイツといるのは楽で楽しい。


そう思っていたのはやっぱり俺だけじゃなく、香川は一つ上の先輩に告白された。




「お前松本先輩の事好きなわけ?」


「好きだよ」


「そうなんだ。。」


楽しみにしてた合宿もなんとなく気が乗らなくなった。


はぁ。。。


駅までいつも隣にいた香川は今は先輩の横で楽しそうに笑う。


こうなってから自分の気持ちに気付く。

いや。気付いてた。


でもその思いに気付かないふりをしてた。

そんな感情は初めからなかったことにしよう。


そう思っても2人の姿を見れば心は痛む。


はぁ〜


「拓っ!何ぼーっとしてんの?」



後ろから腕を叩く香川をチラッと見て目をそらす。


「お前こそ早く先輩とこ行けよ」


「お前じゃなーい!沙希ちゃん。笑」


「はいはい」


「合宿行くよね?」


「どおしよっかな」


「行くの!」


「はいはい」