俺が彼女を抱けない理由



「あっあの時の写真?」

本棚の横に飾っていた写真を手に取る。


葵の笑ってない写真。。


「拓ちゃんの誕生日テントでしたんだよね〜」


少し寂しそうな顔をしたように見えたのは俺の気のせいだったのかな。


「俺の部屋、何もすることないぞ〜笑」


「いいのいいの。ここにいるだけで楽しい」


「そっか」



「あっ!!」


今度は何見つけたんだよ。。


たくさんのDVDの中から昔の兄貴の映画をとってくる。



沙希が兄貴を好きになったきっかけの映画。



「なんか高井さん若いね。笑」



「そうだな」


「あの高井祐介と沙希が付き合ってるんだもんね。なんかすごいよ」


「世間が知ったら大変な事になるな。笑」



「それはもう事件だね」


「葵は高井祐介どう思う?」


「かっこいいし、演技派だしもっともっと上に行きそう」


この時ほど兄貴に嫉妬したことはなかったよ。


「そうだなぁ。。」



「でもっ拓ちゃんの方が何百倍もかっこいいよ」

俺。。。よっぽどショックな顔してたんだろな。。


葵のフォローが余計に切なくなる。



「もうすぐクリスマスだね」


「クリスマスかぁ。。」



1年前。俺が葵ちゃんの告白を断った日。




今年は絶対にいい思い出を作ってやろうって考えてた。



「でも拓ちゃん仕事??」



「大丈夫!絶対夜までには終わらせる!絶対っ!!」


ちょっと気合いいれすぎたかな。。


でもこの日を悲しい思い出から楽しい思い出に変えてあげたかったんだ。