俺が彼女を抱けない理由


「じゃあ俺らも片づけて出なきゃな」


「うん」


こういう時の葵の働きっぷりはすごい。



いつものおだやかな感じじゃなく次々と片づけをこなしていく。


「じゃあこんな感じで」


「あー楽しかったね〜」


「ほんとまた集まりたいよね」


そういいながら俺たちはロッジから出た。



「カギどおしよっか?」


「じゃあアタシ高井さんに渡しておきます」


「じゃあ沙希ちゃん頼むね」


沙希は楓くんが送っていく事になっていたから俺と葵は先に車に乗り込んだ。


「じゃあ、沙希またね〜。楓さんもまたぁ〜」


「おぅ気をつけてな」


「拓、運転気をつけなよ。」


この上から目線の言い方。。


相変わらずだな。。


帰りはさすがに迷わないだろうと思っていたのに普通に迷う俺に葵が失笑する。




「俺カッコ悪いな」


「そんな事ないよ。そういう拓ちゃんも好きだよ」


照れて言えないような事もはっきり言う葵にこっちの方が恥ずかしくなる。


「顔赤いよぉ。笑」


「そんな事ないって」


「赤いもん。笑」


葵にちゃかされながらやっと普通の道まで出ることができた。


「休みだしこのままどこか行こうか?」


「行きたいっ!」


「どこがいい?」


葵のことだからきっとどこでもいいって言うんだろ?


「えっと。。拓ちゃんのうち」



「俺んち?」


「ダメかな?」


「全然いいよ。笑」


その言葉に満面の笑みを浮かべる葵の手をギュッと握る。



驚いた顔をしながらも葵はその手を強く握り返してきた。