俺が彼女を抱けない理由

「どうした?」



葵ちゃんは泣くだけで何も話そうとしない。



「とりあえず出よ」



抱きかかえた葵ちゃんの体は小さく震えていた。



「大丈夫?」



「うん」



そのまま車に乗せて葵ちゃんが落ち着くまでそこにいた。



もう時間は24時を過ぎようとしてる。







「送ろうか?」



「・・・」




「じゃあうちの会社の部屋余ってるからそこで休も。なっ?」





「・・・」



そのままうちへと向かう。



俺には自分の部屋に寝かすことはできなかった。

仮眠室のベッドに葵ちゃんを寝かせその場を離れようとした俺の手を葵ちゃんが握った。




「ここにいて欲しい」





「いいよ」



俺達は手を握ったまま何も話さなかった。



そして20分くらいの沈黙の後葵ちゃんの方から話しだした。




「アタシ。。。やっぱり拓ちゃんが好き。」




「・・・」




「あの人たち優しくしてくれるし楽しいし一緒にいたら拓ちゃんの事忘れるかもって思った。拓ちゃんが沙希のことが好きだって事も分かってる。

でも・・・拓ちゃんが好きなの」







「・・・・」