俺が彼女を抱けない理由



ここに帰ってきてから親父は俺に仕事を任せてくれる事が多くなった。



今日も朝から打ち合わせに芸能事務所に行き今終わった。



もう21時過ぎだし。。。



車のエンジンをかけた時カバンの外ポケットに入れていた携帯が震えた。




『もしもし』


『拓ちゃん?』



『葵ちゃん?』




『拓ちゃん助けて』





『どうした?今どこ?』



『SIN』




『クラブの?』






『うん』



『すぐ行くから待ってて』


明らかにいつもと様子が違う葵ちゃんの声はか細くて今にも消えてしまいそうだった。

葵ちゃんのところまでここからだと15分くらいだ。

俺は急いで葵ちゃんの元へと向かった。

店に着くといかにも遊んでいそうな男達が入り口でたむろしていた。





『もしもし』




『もしもし着いたよ。どこ??』




『・・・トイレ』



『そこまで行くから出てこれる?』




『・・・うん』





途中こないだ会ったモデル連中とすれ違った。



『お前ら女になんかした?』


『あ〜高井企画の〜跡取りじゃん』



『だから何かしたのかって!!』



『何もしてないよぉ〜』



酔っ払ってはっきりしゃべる事もできないそいつらを押しのけてトイレへと急ぐ。



「葵ちゃん!」




「拓ちゃん。。。」