俺が彼女を抱けない理由


「ごめん。沙希これからも仲間なっ!!」



「うん」




ガタン



えっ?



顔を上げた俺は扉の向こうに兄貴の姿を見た。



沙希は慌てて俺から離れる。


兄貴は何秒かこっちを見て下りていった。




「高井さんっ!!」



沙希の声だけが屋上には残った。



俺はアイツの幸せを壊しに帰ってきてるのか?



俺も急いでホールに戻る。


兄貴を置いて外に走っていく沙希を追いかけても追いつかない。



その後も沙希が電話に出ることはなかった。