俺が彼女を抱けない理由



そしてまたいつもの朝が来る。



1日の始まりに母親の姿はない。


帰ってこなかったんだな。そういうのにも慣れた。
隣のうちのにぎやかな声を聞きながら学校へ行く準備をする。


朝ご飯は途中コンビニで買おう。


玄関を開けるとちょうど同じタイミングで隣のうちの小学生が出てきた。


「お兄ちゃんおはよう」


「おう!!おはよう」


この笑顔は幸せな家庭で育ってる証拠だな。。




俺は途中までその子達と一緒に歩いて行くことにした。




「お~い拓」



駅に近づいた所で後ろから瞬が走ってくる。



「おー瞬!昨日ごめんな」



「全然!そういう日もあるよ。でもあの後大変だったんだぞ」




「マジ悪いっ!!」





「そう思うなら朝から何も食べてない瞬くんになんかおごって。笑」



「いいよ」





瞬はうちの事情もある程度は分かっているし一緒にいてすごく楽だった。

深く聞いてくる事もなく、ただ気づけばいつも側にいてくれる。





「俺も何にも食べてない。コンビニよっていこうぜ」





人なつっこい顔で俺の横を嬉しそうについてくる瞬を見てコイツが彼女だったら楽かもな。。なんて思う。


コンビニで買ったパンとミルクティを口に入れながら学校へと向かった。



「なぁ拓?拓って高校は陸上しないんだ?」


「あ〜しないかな」


「速いのにもったいないな。」


「そんなの過去の話だよ。。」