俺が彼女を抱けない理由



次の日曜、俺は沙希の部屋へと向かった。


「沙希ちゃ~ん」


「いらっしゃい」




「お前何?その抜け殻状態」


「あ〜何もする気が起こらなくって。。。」


「・・マサキと別れたの?」



「そうだね」



肩を落としてこっちを見ない。そして大きな溜息をつく沙希の頭を持って上に向けた。




「じゃあそんな沙希ちゃんにプレゼントあるんだけどぉ」



「拓がプレゼントなんて相当怪しいし」


「また可愛げがない。笑」


そういって沙希にチケットを渡した。


すぐに何かを理解した沙希に笑顔が戻る。


「高井さんの舞台のチケ!!!

しかも最前列!!拓ぅ〜よく手に入ったね!?」





「俺を誰だと思ってんの?はぃ失恋記念プレゼント」


「た〜く!!」


そういってアイツは満面の笑みでチケットを見つめてた。




「3ヵ月後だからお前その干物女、脱出しとけよな」

そういって俺は沙希の部屋から出た。


キラキラした嬉しそうな目。




あんな沙希久しぶりに見たような気がする。


そこまで喜ぶと思っていなかったからなんだかこっちまで嬉しくなった。







俺はアイツのあの笑顔が好きでそれをずっと見ていたくてそのためなら何でもできると思った。