俺が彼女を抱けない理由


夏も終わりに近づく頃、瞬から電話があった。


『拓〜元気?』


『元気だよ。報告がありま〜す』


『何?』


『なんだと思う?』



『早く言えよぉ〜俺仕事中!』



『子供ができたみたい』

『まじで?おめでとう』


『ありがとう』



『まだあるんだけど。。。』


『なんだよ』



『香川、彼氏と別れたらしいぞ』


『。。。えっ』


『夕実が葵ちゃんから聞いたみたいなんだけど、アイツ相当落ちてるらしいから元気づけてやれよ』



『俺?』


『他に誰がいるわけ?』


『分かったよ』



この時嬉しいっていう気持ちよりもどうやって元気づけようか1日中考えていた。


何で別れたのかな。。


傷ついてるんだろうな。。


ボーっとしている後ろから兄貴に肩を叩かれた。



「祐ちゃん!仕事は?」


「ちょっと渡したいものがあって」


「なに?」



「はい、これ、次の舞台のチケット」



「ありがとう。絶対行く」



「お〜3枚あるから友達でも誘って」


「分かった」



そういって兄貴は帰っていった。


これしかないよな。。