俺が彼女を抱けない理由

 
=4月=



「みんなで花見行かない?」


夕実ちゃんの一言で急遽花見が決定した。


今年に入ってまたみんなで集まる事が多くなった。



桜が満開の公園で昼間っからビールを飲んでダラダラしてる26歳5人。



これだけ頻繁に会うと話すこともなくなる。



「あっ沙希。高井祐介のDVDありがとね」

・・・高井祐介

聞き覚えのある名前に俺は耳をたてる。




「沙希が言ってた意味わかったよぉ」


「でしょ~アタシ何回見たかな?」


瞬にはこの間飲みに行った時に兄貴が高井祐介だという事を話した。


アイツは会わせろとか自慢しよ〜とか言っていたけど、実際そんな事しないのは分かってる。



「香川、ファンなの?」


「うん。。何年か前に気持ちが落ちてた時、ある映画のDVD見たんだよね。


っで全然まだ主役とかじゃなかったんだけど高井さんがでてて、もうそのシーンを何回も何回も巻き戻しして見たんだぁ。。」



「そうなんだぁ」


瞬がこっちを見る。



「なんか今人気なんだよな?」



俺も不自然じゃないように会話に入る。



「最近みんな言ってるね。アタシはもっと前から好きだったのに〜」



沙希が悔しそうに言うのを見ながら俺の兄貴だなんて言ったらどうなるんだろうと考えていた。