『明けましておめでとう』
親父と兄貴、3人での正月を迎えた。
男三人でテーブルを囲む。
それでも母親と2人の時に比べて暖かく感じた。
「俺に年賀状きてる?」
「自分で探せ」
そういう親父から兄貴は年賀状を奪い取って懐かしそうに年賀状を一枚ずつめくっていく。
「あっ拓にも来てるよ」
「えっ?」
渡された年賀状の送り主を確認する。
・・・結城貴子
一瞬見るのをやめようかとも思ったけど俺は文面を読んだ。
【明けましておめでとう。拓、元気にしてる?お母さんは体調を崩して去年から入院してました。今一時退院してうちにいます。拓に会いたい。】
読み終わったハガキを置くことができない。
「拓誰から?」
「・・うん」
そんな俺から親父はハガキを取った。そして読み終わった年賀状を机に置き俺の方を見る。
「心配だろ?一度うちに帰るか?」
「・・いいよ」
どうしてもあの家には帰りたくない。
またあのときの感情が一瞬蘇った。
「部屋戻っていい?」
「ゆっくり考えろよ」
「・・・うん」

