見下ろすと広がるのはいつもと変わらない、黒に浸食されていく街並み。 そこにあるモノクロの世界を、両目で見ても許されるのか。 世界の色を認識できないこの目で。 手の中の塊に目を落とす。 「…お前これ、赤じゃねえか」 目の前の嘘つきが笑った。