「高いところ好きだな」





気配を感じさせず、気付けばやつは後ろにいた。
そして一方的に喋りだすのはいつものこと。



木の上。

枝に座ったまま
黒い葉の隙間から、黒い空を見上げる。




「うるせ、嘘つき野郎」

「ひでえ」




また笑った。
空を仰ぎながら。

真っ黒いだけの空なのに。