河村さんが気遣って、海斗の肩に優しく手を置いた。びくっと海斗が体を震わせる。
「ううん、藤本君が悪いんじゃないから。あんなところに置いた私が悪いのよ、重い物はもっと下に置かなきゃだめね、さあ、後は私が片付けておくから藤本君は行って」
「はい、すみませんでした」
重そうに立ちあがり、海斗が倉庫を出ていく。
その背中を見送る私と彼に、河村さんが呼び掛ける。
「瑞香ちゃん、そちらが働きたいって言ってた方? お待たせしてごめんなさいね」
「はい、片付け手伝いましょうか?」
と訊ねると河村さんは立ち上がり、片付けもそこそこに倉庫を出てきた。
そして彼に席に着くよう促すと、
「いいの、片付けは後で私がするから。早速、面接させてもらうわ」
と言って、にこりと笑う。
いつもの河村さんの笑顔だ。

