倉庫には売店等の物品とは別に、事務所の備品や書類などが置いてある。
倉庫の扉には擦りガラスの窓はついていないから、誰かが中に入っていても分からない。だから入る時にはドアを開けっぱなしにするようにしているのだけど、今は閉まっている。
ここでも無さそうだ。
売店に行ってるのかもしれないから、呼びに行ってみよう。
「とりあえず座って……」
と言い掛けた時、大きな音がした。
ずっしりと重い物が落ちたような、お腹に響く音。
事務所内の倉庫から聴こえた。
なに?
彼と顔を見合わせる。
さすがに彼も顔を強張らせて、目を見張ってる。
付けっ放しのパソコン。
居るはずの河村さんがいない。
何かあったのかもしれない。
ほかの誰かが居る?
もの凄く、嫌な予感。
互いに言葉も出ないまま見つめ合う。だけど、見つめ合ったままではいられない。
込み上げる不安を抑えながら、私は決意した。
河村さんの机にバッグを置いて、
「ちょっと見てくる、ここで待ってて」
と彼に告げる。
すると、彼は私の腕を掴んで制止した。

