聴かせて、天辺の青



翌朝、和田さんたちを送り出した後、おばちゃんと彼と私の三人で朝食を摂っていた。


おばちゃんがテレビを観ながら、彼にいろいろと話し掛けている。


一応面接だから緊張するだろうとか、採用してもらえたらいいねとか。まるで自分が面接を受けに行くかのように、そわそわしているのがわかる。


おばちゃんったら面白いんだから。


「9時に出発する」と彼に告げて、二階へ上がる私の後を彼がついて来る。


何も言わないけど、自分の部屋に戻るのだろうと思ってた。


ところが彼は部屋には入らずに、まっすぐ洗面所へ。トイレ?と思いつつ、私は和田さんの部屋に向かった。


しばらくすると、お風呂場から洗面器の転がる音が聴こえてくる。気になって覗いたら、彼がお風呂を掃除してる。


「私がするからいいよ」


と言うと、


「これぐらいできるから」


と素っ気ない返事。黙々と掃除をする手を止めようとしない。


ちょっとペースが狂うけど、手伝ってくれるならいいかなと私は部屋の掃除に戻る。


しかし、
彼の部屋はどうしたものか……


私がするべき?
と悩んでいると、彼がやってきた。


「自分でするからいい」と一言。


やっぱり無愛想に変わりはない。


面接、大丈夫かなあ……
と、少し心配になってきた。