聴かせて、天辺の青




「お疲れ様、後は夕方になったら布団を取り入れて、部屋の隅っこに畳んでおけば終わりだから。また時間になったら声掛けるけど」


言いながら一階へ下りようと促すのに、彼は立ち止まって何か言いたそうな顔をしている。


「何? 質問とかある?」

「いや、今日は仕事休みなのか?」


どうして、そんなことを聞くの?
私が他に仕事をしていること、今日が休みだと彼に話した覚えはない。


「休みだけど……どうして知ってるの?」

「ああ、さっき台所にあるカレンダーに『休』って書いてあったし、おばさんに仕事してることは聞いたから」


そういうことか、納得。
私が疑惑の目で見ていたのに気づいたように、彼は少し焦った顔をして疑いを晴らすように細かく説明した。


「うん、今日が休みでよかったよ、ちょうど教えられたから。明日からよろしく」


一応、私もきちんと返した。
もしかしたら、悪い人でも強盗犯でもないのかもしれない。まだ表情を緩ませることはできないけど。


騙されちゃいけない。
きゅっと口を噤んで、階段へと向かう。


「ありがとう、仕事って何してるの?」


私を呼び止めた彼の声は、さっきよりも柔らかく感じられた。