聴かせて、天辺の青



和田さんたちを見送った後、おばちゃんが彼を呼んできて三人で朝食を頂いていた。


彼は何も話さず、黙々と食べている。
時々おばちゃんに話を振られたら、簡単に答える程度。キャッチボールにはなっていない。


BGM代わりに点けっぱなしのテレビから流れるニュース。アナウンサーの発した言葉に、ドキッとして箸を止めた。


『コンビニに強盗が……』


現場の映像が流れる。
街中に埋れてしまいそうなコンビニの建物に、違和感を覚えた。さらに防犯カメラに映った犯人の姿は、昨日海斗に見せてもらった写真とは違う。


アナウンサーの言葉に耳を傾けると、まったく他県での出来事だった。


そういえば、一昨日の強盗事件はニュースでも言わなかったし、新聞にも載っていなかった。辺ぴな地方の小さな町の事件なんて、そんなものなのだろうか。


ほっとして彼を見たら、彼はテレビではなくおばちゃんの方を向いて話している。なんだか楽しそう。


これは嫉妬だろうか、おばちゃんと話す彼を見ていたらイライラする。


おばちゃんが私に気づいた。


「瑞香ちゃん、もう少ししたら彼に二階の掃除を手伝ってもらってね」

「うん、わかった」


答えた私はどんな顔をしているのか、彼が小さく頭を下げた。