聴かせて、天辺の青




見せられた写真は、ちょうど犯人がコンビニの入口から入ってきたところ。防犯カメラからの映像で粗くぼやけていて鮮明ではないけど、一目見て男性だとわかった。


黒いニット帽を被り、黒いジャケットに灰色のパンツを履いた男性の顔ははっきりとわからない。背格好は彼に似ているようにも見えるし、違うようにも見える。


「どうだ? ソイツか?」


海斗が急かすように尋ねるけど、確信が持てない。腕を組んで、いろんな角度から写真を睨む私に、海斗の視線が突き刺さる。


「うーん……よくわからない」

「まあ、そうだろうなあ……こんな粗い写真じゃ、わからないよなあ……でもさ、着てる服はどうよ?」


と言われて、もう一度写真を見た。


「こんな感じの黒いジャケットは着てたけど、ニット帽は被っていなかったし、パンツの色は灰色じゃなくて黒だったと思う……彼じゃないかも」


海斗が大きく息を吐く。
私には、彼だと決めつける自信はなかった。もし違っていたら……と考えると怖くて。


「この写真では違うように見えても、本当はソイツかもしれないんだから、念のため気をつけろよ」


脅すような声に不安を煽られて、胸が苦しくなる。


何事もないことを祈っていたはずの私は、いつからか違うことを考えていた。私がおばちゃんの家に帰ったら、彼が出て行ってくれてたらいいと。