私が出てくる時、彼はまだ寝ていたけど今はどうしているんだろう。おばちゃんのことが気になって仕方ない。
「だったら……もし彼が強盗だとしたら、今おばちゃんと二人きりで居るのって危なくない? 健さんが店番に来てくれてるけど……」
近所の健さんが、酒屋の店番に来てくれてるとはいえ心配だ。彼より年上だし、何かあった時に体力的に勝てるとは思えない。
「健さんかぁ……電話してみる? 気をつけろって」
「うん、でも変に警戒して、彼に余計な刺激与えるのもどうかと思うし……」
二人揃って首を傾げた。
黙っていても嫌な考えばかりが浮かんでくる。
よく考えたら、彼には疑わしいところばかりだ。
東京から来たのは偶然じゃなく、強盗するためだったのか。それとも東京から来たということ自体が嘘だったのか。
柵にもたれ掛かっていた海斗が、勢いよく体を起こした。何か決めたように、きゅっと口角を上げて。
「とりあえず、写真見てみる? 事務所に置いてあるはずだから、あんまり綺麗に写ってないけど、本当にソイツなのか確かめてみたら?」
と言って、海斗は缶コーヒーを飲み干した。

