川に架かった橋を渡ると、目の前は公園。道路は途切れてしまっているから他に行ける場所なんてないのに、車は川を渡って公園へと向かってく。もう閉園した駐車場に停まっている車はないし、駐車場の入り口も閉まっている。



「海斗、どこ行くの? もう閉まってるよ?」

「さあ……どこ行こうかなあ?」



悪戯な笑みを浮かべて、海斗が車を走らせる。閉鎖した駐車場の入り口を通り過ぎて、少し離れた臨時駐車場へと。整地されていない一面の空地には、もちろん車なんて一台も停まっていない。



海斗が何を考えてるのか、さっぱりわからない。



タイヤが拾うごつごつした土の感触が、シートから体へと伝わってくる。



駐車場の真ん中に車を停めて、海斗が私を振り返る。何か答えを求めるように顔を覗き込むような仕草で凝視して。
うっとおしいったら、ありゃしない。



「とりあえず、発散しようか?」

「発散?」



聞き返したのに海斗は答えず。にやりと笑いながらシフトレバーを握り締めて、街灯が照らし出す空地を見回した。



海斗の手と脚が滑らかに動くのに合わせて、車が走り出す。一気に加速したら右へ左へドリフト。
思っているのとまったく違う車の動きに振り回された体は、まるでシートの上で踊らされているよう。