聴かせて、天辺の青


「急に呼び出してごめんね、仕事忙しいの?」

「うん、バイトの人が急に辞めたから」

「そっか……、大変だね、藤本君は元気? もう結婚式の日取りは決まった?」



海斗がもうすぐ結婚することは麻美も知っている。麻美が道の駅に買物に来た時に、海斗から直接聞いているから。但し河村さんのことは年上だとしか話していない。



「結婚式は挙げないらしいよ、入籍は年が明けて三月ぐらいになるかもって」

「ふぅん……入籍だけなんだね」

「麻美はどうなの? 温泉の彼と進展は? クリスマスでしょ?」

「え、うん……」



麻美が言葉を詰まらせて顔を伏せる。両手で隠そうとした頬は真っ赤で、いかにも何かある感じで怪しい。



「まさか、もしかして……もう告白したの?」
「したよ」



問い掛けても麻美は顔を伏せたまま、消え入りそうな声で答える。私は聞いてはいけないことを聞いてしまったのかもしれない、と少し後悔。



いつまでも俯いている麻美に、これ以上問い掛けてもいいものか。
そう思いつつ、再び問い掛けてしまう。



「どうだった?」



麻美が小さく肩を震わせる。
やはり聞くべきではなかったのかもしれない。