今朝のおばちゃんの家の台所は、いつもよりも密度が高くて窮屈だった。
いないはずの海斗と海棠さんが、率先しておばちゃんの手伝いをしてる。海棠さんはともかく体の大きな海斗の存在が圧迫感となって、私を台所からはじき出してしまった。
そんなに広くない台所でひしめき合う三人を眺めながら、料理を盛り付けた器をお盆に載せて運んでくる海棠さんを待っている状態。
次第に慌ただしさを増す和田さんたちの足音が、二階から聴こえてくるのに耳を澄ませたり。
座卓に料理が並びきった頃、和田さんたちが下りてくる。
「おはようさん、おぅ? 瑞香ちゃん、久しぶりやなあ」
目が合った途端に、眠たそうな声の和田さんが笑顔に変わった。
「おはようございます、御心配おかけしてすみませんでした」
「何言ってんねん、頭なんか下げんと早よ座り。今日は一緒に食べよか」
頭を下げた私の肩に、和田さんの手が触れた。ぎゅっと力を込めてくれた手から伝わってくる温もりが胸を締め付ける。
和田さんだけじゃない。
本郷さんも有田さんも、おばちゃんも海斗も海棠さんも。ここにいるみんなの温もりが沁みてくる。
「ありがとう」
声に出したら涙が込み上げそうになって、なんとか堪えた。

