「避けるわけないじゃない、そのうち連絡してくるよ」
「そうかな」
「そうそう、もしかしたらサプライズかもよ? いきなり帰ってきて驚かせようって思ってるのかも」
海斗が、ふっと鼻で笑った。
「英司には似合わないなあ、急に帰ってきても俺の仕事の都合もあるんだから困る」
「そこが英司の魂胆かも? 海斗を慌てさせようとしてるのかもね」
言ってることに反して、胸の中には疑問ばかりが浮かんでくる。
どうして海斗には連絡しないんだろう。
今まで英司が帰ってくる時は、絶対に海斗にも連絡していたはず。
単に連絡が遅れてるだけ?
それとも、海斗には会わないつもりなんだろうか。
「まあ、どっちでもいいよ。会えるなら連絡してくるだろうから待ってるよ」
笑いながら海斗は言ったけど、息を吐くように溢れた声は少し寂しく感じられた。なんとなく諦めに似た感情が含まれているようで。
『俺からは連絡しない』
海斗は声に出しては言わない。
でも私には、聞こえた気がした。

