「ホントにごめんね」
謝るしかできない私に向けられる海斗と彼の目は優し過ぎて辛い。でも私には、これ以上の言葉が見つからない。
「今回は運がよかったんだよ……、相手が車だったら、これぐらいの怪我じゃ済まなかったかもしれないんだからな」
海斗の声はしみじみとしているのに力強く、私の胸を締め付ける。もし相手が自転車じゃなくて車だったら、と思うと本当に怖い。
「うん、わかってる」
「今度から気をつけろよ、しばらく自転車には乗るな、いや……、乗れないのか?」
急に語尾を上げて首を傾げる海斗は、さっきまでとは違った表情。途端に胸を締め付けていたものから解放される。
「私の自転車は壊れたけど、妹のがあるから乗れるよ」
「そうじゃなくて、怪我してるから乗れないだろ?」
「ううん、大丈夫。じっとしてたら痛くないから、自転車も平気」
「じっとしてるって何だよ? だったら自転車は無理だろ?」
「大丈夫だよ、乗ってしまえばずっと同じ姿勢だから」
「そんな訳にいかないだろ? ああ、もう……、やっぱ休んでろよ、もうしばらく来るな」
ついに海斗はめんどくさそうに首を振った。私たちのやり取りを見ていた彼が、くすくすと笑い出す。

